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豊富な高原野菜
 ボルネオで「すきやき」を食べたいと思ったら、シュンギクを除いて何でも手に入る。シュンギクでさえ、バジルやコリアンダー、他にも香菜が色々あるから、それを代用すれば良い。もっとも、コンニャクは日本からの輸入品であるし、牛肉も出来ればアメリカかオーストラリアからの輸入物が良い。地元産は硬すぎる。フトネギ、ハクサイ、シイタケなどは日本と変わらないりっぱなものがある。キナバル山の標高1,000・地帯は高原野菜の一大産地なのである。
 高原野菜の栽培は約20年前、主に日本からのオイスカや青年海外協力隊が指導したと聞いている。土壌・気候が合い、技術的には難しくなかったが、何のために作るのかを理解してもらうのに苦労したそうだ。「今まで通りに生活すれば良いのだし、たくさん作ってどうするの」と言うのが、地元の意見だったのである。
今では次々と新しい野菜が導入されている。その多くは温帯野菜で、ホウレンソウ、キャベツ、ブロッコリー、レタス、アスパラガス、インゲン、エンドウ、イチゴ、タマネギなどである。これらは温帯諸国で長年の品種改良を重ねてきた結果、品質に優れている。また食生活の変化に伴い、温帯野菜の需要が高まっているため、生産が急速に伸びている。 
パサール(常設市場)やタムー(定期市)には、日本人には見慣れない野菜が所狭しと並べられているし、見慣れているはずのナスやトウガラシなどの温帯野菜にも随分と変わったものがある。多くは在来野菜であるが、それらは高温、多湿あるいは乾燥といった熱帯の厳しい自然環境の下で育まれて来たため、過酷な環境条件や病虫害に対して抵抗性が強い。

特に重要なトウガラシ
新大陸起源の野菜も豊富にある。多くはコロンブスのアメリカ大陸到達以降の新しい時代に到来したものであるが、200~500年が経過し、東南アジア独自の品種も数多い。トウガラシ、キダチトウガラシ(コーレーグス)、カボチャ、トウモロコシ、トマト、サツマイモ、キャッサバ(葉を野菜として食べる)などがその例である。特にトウガラシは,東南アジア全域で利用され、トウガラシ抜きの料理を想像するのが困難なほどになっている。
 樹菜とか樹木野菜と呼ばれるものがある。樹木の茎や葉、花を利用するのである。多くは森からであるが、栽培されているものも少なくない。ネジレフサマメ(子実利用)、ギンネム(茎葉を利用)、グネモンノキ(茎葉、子実利用)バナナ(花利用)などである。
 ヨウサイ(ウンチェー)は、ボルネオではカンコンと呼ばれ、炒め物や煮物をはじめ,種々の料理に幅広く使う。川や沼などに自生するが、田に水を張って栽培したりもする。
 マメ類ではナガササゲやシカクマメが経済的にも重要な野菜である。主として若いさやの部分を炒め物,煮物のほか、生でサラダとして利用するが、しゃきしゃきとした歯ざわりの良さが好まれるようだ。インドシナ半島と中国南部では丸いさやの品種しか見られないが,ボルネオでは平たい品種もある。
ニガウリ、ユウガオ、ヘチマ,ヘビウリ,ヤサイカラスウリは炒め物、煮物に利用されている。同様にナス、ケナス、シロスズメナスビなどのナス類は、焼き物や煮物、生食に使われるが,ナス類を使った料理は多くが家庭料理である。コリアンダーとバジル類は香料野菜の代表である。沖縄の俗名「長命草(サフナ)」、ハリセンボン(アバサー)などを煮る時に使うウイキョウ(イーチョーパー、ニーズンキョウ)。ナカミ(ブタの腸)の吸い物を作る際にヒハツモドキ(フィファチ)の葉を使えば、これも香菜と言えるだろう。

第28話

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第27話 野菜