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鳴き声を鳥と勘違いする
 日本の両生類は59種類。有尾類22種,無尾類37種である。人為的に移入されたことが確実なものは3種類。土着種は旧北区系要素と東洋区系要素からなっている。
トカラ海峡以南の南西諸島を見てみよう。奄美諸島には12種類の両生類が分布し,オットンガエル,アマミハナサキガエルが固有種である。シリケンイモリ,イボイモリ,リュウキュウアカガエル,イシカワガエル,オキナワアオガエルは,ここと沖縄諸島にのみ分布する固有種である。ハロウェルアマガエル,ヒメアマガエルはここを北限とし,わが国では八重山諸島にまで分布する。
 沖縄諸島には15種が分布し,ホルストガエル,ナミエガエル,ハナサキガエルが固有種となっている。ほかはすべて奄美諸島と共通する。宮古諸島にはミヤコヒキガエルの他,3種類のカエルが分布する。八重山諸島には12種が生息し,ヤエヤマアオガエル,オオハナサキガエル,コガタハナサキガエルが固有種である。
南西諸島は東洋区系の要素が強く,固有種が多いと同時に,近縁種が中国南部や台湾,東南アジアに分布しているものが多い。固有種は,特に奄美・沖縄諸島に多いが,これは,この地域が地史的に古い時代から隔離されていたことを示しているのだろう。
サバにあるタビン原生林でキャンプをしていた時のこと。日が暮れて2時間も経つと,「コホホッ,・・・,コホホッ」と,澄んだ声が森から聞こえてきた。声は夜半過ぎまで続いたが,2晩目まで,私は「コノハズクの仲間だろう」と思っていた。ところが,毎晩同じ場所からだし,声の質から,私はカエルだろうと判断した。アオガエルのような樹上性のカエルかも知れないが,背丈4・のショウガ科の草が茂るところからも聞こえてくる。

有尾類はいない
 私はライトを手に,かなり丹念に探してみたが,どうしても見つけることが出来なかった。ボルネオのカエルには樹上や,岩や倒木の下,地中の穴に棲むカエルも多く,そう簡単には見つからない。
ボルネオには有尾類はいない。有尾類は旧北区・新北区の生き物で,イボイモリやシリケンイモリなどわずかな種類が境界を越えて,東洋区の一部に分布しているのにすぎない。
無尾類は142種が知られている。そのうち98種が固有種である。日本では移入種を含めて4種しかいないヒキガエル科が29種もいる。
ジムグリガエル科は日本ではヒメアマガエル1種だが,ボルネオでは20種が生息する。アカガエル科は39種,日本では22種。アオガエル科は日本では14種,ボルネオでは33種。アマガエルを巨大にしたような緑色の美しいカエルで,樹上に棲む種類が非常に多い。しかし,日本では各地で見られるアマガエル科は,ボルネオには分布していない。
 奥地を旅していた時,ミミズのような死体を見つけた。しかし,ミミズではなさそうだ。気になったのでアルコール保存にした。後にヘビ・カエルの専門家に見てもらったら,「アシナシイモリだ」と言われた。アシナシイモリはミミズのような形をしていて,体長20・くらい。皮膚はなめらかでヌラヌラしているが,皮膚に埋もれたうろこがある。目は退化していて役に立たない。地下の穴の中で生活し,ミミズや小昆虫を食べているらしい。
両生類は対外受精を行うが,アシナシイモリは交尾して体内受精を行う。ふ化した幼生は水の中で生活するため,えら呼吸をする。この時期には眼も正常で,尾は平たく,泳ぐのに都合よくなっている。幼生期の終り頃になると,肺が発達し,陸にあがって一生を穴の中で過ごすのである。

第31話

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第30話 両生類