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壷を持った食虫植物
 メシラウリゾートはキナバル山の標高2,000・にある保養地だ。快適な宿泊施設があり、朝日に映える岩の稜線が素晴らしい。ここでは5種類のウツボカズラ、たくさんのランやコケ、シダ、シャクナゲ、ベゴニア、豊かな山地林を観察することができる。中でもラジャウツボカズラは、ほとんどここでしか見ることができない。世界最大のウツボカズラでボルネオ特産。自生地はキナバル山の数ヶ所のみ。ボルネオ産では、唯一ワシントン条約で輸出入が規制されている種でもある。
 ウツボカズラはインド洋に面してマダガスカル、インド、インドシナ半島,そしてインドネシアの島々を通ってニューギニアにまで分布、約80種類が知られている。ツル性の食虫植物で、他の木の幹や枝、あるいはススキなどにからみついて上に伸びていく。
葉の先端に、大きな捕虫袋(壷)を付けるが、これが、武士が矢を盛って背負う「うつぼ」に似ているというのである。袋は花ではなく葉の一部だ。袋には空中に吊り下がる上壷と、地面に座るように出来る下壷とがある。一般に上壷は細長く、底の部分が尖っており、仮に切り取って机に置こうとしても立たせることが出来ない。一方、下壷は底が大きくふくらみ安定した形になっている。形があまりにも違うので、別種ではないかと思うくらいだが、1つの蔓に出来ることと、模様が共通しているから、同種だと分かるのである。
壷のふたの内側からは蜜が出る。舐めると、ほんのりと甘い。これで虫を呼び寄せるのであろう。ところが、壷のふちはすべりやすくできており、しかも、下向きにトゲがある。壷の内側もすべすべしていて、1度入った獲物はどうやっても逃げ出すことができない。反対に、壷の外側は毛が生えてざらざらしており、虫が登りやすいようになっている。実に見事なトラップ(わな)なのである。壷には消化液がたまっている。

ネズミも捕らえることも
 ウツボカズラの花は小さく、茎の先端に穂のようにつく。雄花と雌花があり、どちらも良く似ていて、花が咲いているあいだは区別しにくい。雄花はそのまま結実せずに枯れてしまい、雌花はゴマに似た殻を付け、その中にたくさんの小さな種子を結実させる。
ボルネオからは36~40種のウツボカズラが知られている(研究者により数が異なる)。つまり、世界の半数が集中しているということである。特にブルネイでは低地から山地林にまで、さまざまな種類が自生しており、超塩基性(強いアルカリ性)土壌やケランガス(熱帯ヒース林)など一般の植物が生育しにくい特殊な、あるいはやせた土壌で見ることが出来る。日本では観賞用に鉢植えが売られているが、あまり肥料をやりすぎると壷を付けないと聞いている。
ラジャウツボカズラの「ラジャ」は、「王様」の意味である。最大のものは2.5・もの水が入る。ふたが開いてから3ヶ月は鑑賞にたえるから、メシラウでは一年中、捕虫袋を見ることが出来る。壷の中では、カやハエ、小さな昆虫類が死んでいるが、カエルが産卵していることもある。ただ、オタマジャクシになると同時に酸性の液によって死んでしまう。  
消化液の中で繁殖出来る特別なカもいるそうだが,雨が降ると水が入って酸も薄まってしまうから、こうなると普通のカでも繁殖できる。まれに、チビオジムヌラ(地上性のモグラ)やネズミ入っていることもある。
 沖縄島北部の林道や西表島の岩場などで、赤いじゅうたんのように広がる小さな植物を見ることがある。これはコモウセンゴケで、やはり、食虫植物である。

第32話 鳥類

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第31話 ウツボカズラ