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沖縄と共通した植物
 初めてボルネオへ行ったとき、尋ねられた植物の名前を私が次々と答えるものだから、友人が驚いていた。なんのことはない、沖縄と共通したものが多いのである。オキナワキョウチクトウ(ミフクラギ)、アダン、オオハマボウ(ユウナ)、タマシラキ。沖縄の海岸近くや大きな川沿いでは普通に見られる植物だ。ただ、これらの植物はボルネオでも川の下流域だけで、中流から上流域ではフタバガキ科のハガカック、レサックイリアン、食用にもなるフサマメの仲間、バユールジャワ、ルバンニンジンボク、黄色のきれいな花をつけるシンポー(ビワモドキ)、タイヘイヨウテツボク、ビヌワンなど、沖縄では見られない種類ばかりになる。
川岸林は渓流や川沿いに発達する森林である。ただし、海水が混じる下流ではヒルギを中心としたマングローブや、サキシマスオウノキに代表される汽水林になる。
一概に川岸林と言っても、土壌とか山の傾斜、標高などにより様々な違った景観になるのだが、共通していることは、大雨のあと一時的に水に浸るということである。キャンプ中、どんな大雨でも心配のない斜面には別の型の森林が発達し、逆に鉄砲水の危険があるところに川岸林はできるのである。ボルネオの川では、中流から下流にかけて、大雨のあと数日から1ヶ月も水に浸っているところがある。
 中流、下流域では町や船着場を作るために真っ先に開発され、石やコンクリートで固められてしまったのが川岸林である。逆に、開発した後背地からの土砂の流出を防いだり、田畑や村落を川の浸食から守るため、意識的に残しているところも多い。

テングザルの生息場所
 川岸林は、もともと幅30~200・の狭い森林に過ぎず動物も少ないのであるがそれでも沖縄に比べれば、ずっと多くの動物が棲んでいる。さらに、今は、開発によって本来の生活の場から追いだされた動物の「駆け込み寺」になっており、それだけ動物も多い。
早朝か夕方、ボートで走ると、カニクイザル、バナナリス、シルバーリーフモンキーを見ることが出来る。鳥ではシロガシラトビ、マレーウオミミズク、ムラサキサギ、アジアヘビウ、あるいはヤマショウビンなど大形のカワセミがめずらしくない。キナバタンガン川沿いでは40頭からなるアジアゾウの群れや,オランウータン、テングザルに遭遇することも稀ではない。特にテングザルはボルネオ固有のサルで,マングローブと川岸林の一部にしか棲んでいない。
テングザルは、天狗のような長い大きな鼻を持ったサルだ。もっとも、これは成長したオスだけの特徴である。体は赤褐色で、頭の上と首すじと肩の部分では濃く、ほおやのどはクリーム色がかった薄い色になっている。腕と足、それに長い尾は白っぽい灰色で、尻には同色の短い毛の三角形をしたパッチがある。後ろから見ると白いパンツをはいているようである。オスの大きい個体では頭胴長70・を超し、それよりわずかに長い尾を持っている。体重は20~23・・。一方、メスは最大でも頭胴長60・、体重10・・と、かなり小形である。テングザルがほかのサルと大いに異なる点はよく泳ぐことであろう。幅50・くらいであれば、川をはさんで行動圏を持つことも多く、1日数回、ごくふつうに泳いで行き来している。1群は平均20頭、ときには50頭におよぶ。
食べ物の9割は限られた植物の葉で、なかには有毒のものも含まれている。こういったものを消化、吸収するためにテングザルの腸は極端に長く、オスでもメスでも妊娠しているように腹がボテッとしているのである。

第41話 漁業
 

第40話 川岸林