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第6話 イスラム教
最も離れたイスラム国家
ボルネオに領土を持つマレーシア、ブルネイ、インドネシアはイスラム国家と呼ばれるが、すべて信仰の自由を認めている。イスラム教の他、キリスト教、ヒンドゥ教、儒教、土着のアニミズム、シャーマニズムもある。
しかし、全国民の70・以上がイスラム教徒で、行事のほとんどはイスラム暦とイスラム教にのっとって進められている。ただし、メッカから一番離れたイスラム国家であり、本場とは多少違ったものになっていることも事実である。ボルネオ島へは,10世紀以降にもたらされたもので、イスラム教徒の多くは都市部と海岸部に集中しており、そこでは、至るところにメスジド(モスク)がある。
イスラム暦は、月の動きを基本にした太陰暦(日本の旧暦)であるが,太陽暦(新暦)との調整がないので、毎年、新年が2週間くらいづつ前倒しになっていく。
ハリラヤ(新年)の前1ヶ月間はラマダン(断食)の月である。陽のある明るいうちは、食事はだめ。水も飲んではいけないし,唾を呑込むことも禁じられる。陽が暮れてから初めて食事をとり、朝は夜が明けないうちに食事を済ませる。日中は役所にしても、どんな職業でもほとんど仕事にならないようだ。空腹で力が出ないのである。ところが、断食月に入ると肉の消費量がグーンと上がる。夜は普段よりご馳走を食べる習慣なのである。
イスラム教徒は1日5回、メッカに向かって祈りを捧げる。そのために公的な建物やレストランには礼拝堂が設けられている。また、金曜日の昼は近くのモスクに集まって祈る。もっとも信者には熱心な者とそれほどでない者がいて、なかには祈りもやらないし、安眠剤と称して酒をくらっている者もある。イスラム教にアルコールは禁物なのだが・・・。

豚は不浄な動物
イスラム教徒は豚肉を食べない。ヒンドゥー教徒がウシを神の使いとあがめて食べないのと違って、イスラム教徒にとってブタは不浄な動物なのである。どうしてなのだろう。1度、尋ねたことがあった。幾つか答えがあったが、もっともらしいものは、こうだ。
 かつてはイスラム教徒もブタを食べていたが、ある時、ある男が、モスクから戻り「ブタ料理を食べたい」と言った。妻はすでに準備してあったのだが、連れが多かったので、とっさに「ない」と答えた。その時はそれで済んだのだが、男は夕方になって嘘だったことを知り、たいそう腹を立てた。「では、どうしたのか」と問い詰めると、「腐ったから川へ捨てた」と言う返事。そこで、彼が近くの川を見ると、すてたばかりの肉がブタの姿になり、駆けて行ったのだそうだ。そこで、男は「ブタは腐ったものから生まれたものだ」と皆に言った。以来、イスラム教徒は豚肉を決して口にはしないのだそうだ。
 別の人も同じようなことを言った。ただ,その人の話では男はマホメッドであった。大学の職員は、「寄生虫が多く、汚れているからですよ」と、違った返事である。ようするに宗教上のことであって、はっきりした理由を期待すること自体が無理なのだ。
 浦添市にはJICA研修センターがあり海外からの研修生が、また、琉球大学にも留学生が多い。イスラム圏からの人も多く、彼らが悩むのは、やはり豚肉なのだそうだ。特に沖縄では豚ぬきの料理は考えにくい。そこで、スーパーで買出しをしては自炊生活しているとのことだが、牛肉・ヤギ肉・鶏肉など、イスラム教徒が口にする肉でさえも、厳密に言えば、経典にのっとって処理されていなければ食べてはいけないのである。
ボルネオの店では、安心して買い物できるよう、食品には「ハラル」の文字が印刷されている。ハラルとはイスラム教徒にとっての安全食品という意味である。
第7話 キリスト教

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