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開け放たれた渡口氏の部屋には、彼の友人もすでに到着していた。新しく僕と友だちになるであろうという人である。
「おや、あの人ではないか」。このアパートの開いている部屋で、それは決まった部屋ではなかったが、寝ころんだり読書している姿を僕はちょくちょく見ている。アパートの住人でもないのに、昼間、もし誰か一人でもいるとしたら、それはたいてい彼だった。ただ、こうしてお互いに向かい合うのは初めてのことだ。
「僕のね、友人の土屋實幸だ」。渡口氏は少し改まった様子で僕に紹介した。色白で目鼻立ちの整った彼は、今日のためだろうか、さっぱりとヒゲを剃り、まだ新しいジャケットを羽織っていた。アパートの連中と比べたら、場違いなくらいあか抜けしていて、自己紹介されはしたものの、沖縄の、しかも山原育ちとはにわかに信じることができなかった。
何かスポーツをしているのだろうか、体がキッとしまり動きに無駄がない。口数はそんなに多くないが、その代わり、人の話には真剣に耳を傾ける人だ。僕は文句なし彼が気に入った。
その夜は数名連れだって「那覇」という泡盛を飲ませる店に行った。主人は栃木か群馬あたりの出と聞いたが、中野駅近くの早稲田通りにあって、沖縄を感じさせるこぢんまりした良い店であった。土屋君(今日まで、「つちや君」、「やすま」で呼び合っている)は、時々ここを利用しているらしいが、それにしても酒が強い人だ。僕はほとんどだめなのに。
この日から、土屋君との楽しい付き合いが始まったが、それにしてもすでに40年、渡口さんを跳び越えて一生のお付き合いになるとは、その時、誰が想像したことだろうか。
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