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| 安間 繁樹 | |||||||||||
| 4話 本業は学生・金持ち運転手の酒とバラの日々 | |||||||||||
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土屋君と初めて会ったのは、彼が運送屋で働く直前か、その直後だった。もちろん2人とも本業は学生である。僕は小石川で運転手をしていたが、いつも行く銭湯が火事になり隣のアパートも焼けた。後で知ったのだが、土屋君はそのアパートの住人だった。外泊中に出火し、そのことはニュースで知ったそうだ。運よく彼の部屋だけが残り、唯一の財産であるステレオプレイヤーも焦げただけですんだ。ステレオは後に僕が借りることになるが、2人は以前から目と鼻の先にいて、いつかは出会う定めだったようだ。
2人が特に親しくなったのは、似たような東京生活だったからだろう。互いの夢を語り、時間を共有した。クラシック音楽も聴いた。本も良く読んだ。そんな共通点もあるが、何より、一緒に楽しい酒を飲むことが出来たからだろう。 大学出の初任給が3万5千円の頃、土屋君は4万円くらい稼いでいたし、僕は日曜出勤や残業でもっと稼いだ。ただ、これは学費だし生活費であり、僕にとっては沖縄へ通う資金だから、2人とも普段は質素だった。だが、会って一緒に飲むときは、結構はでにやっていたように思う。その辺の赤提灯や「那覇」へも通ったし、仲間・知人のアパートへ酒をかついで押し掛けることもしばしばだった。 「加那」という泡盛の店があった。三味線あり踊りありの小料亭で、それはぜいたくな酒であった。頻繁には行けないが、それでも、財布を厚くして出かけたものだった。 「土屋さんとお付き合いしてはダメ。人生だめになってしまう」。当時、すでに付き合っていた僕の彼女(その後結婚)が言っていた。ところがいい気なもので、結婚後、土屋君のことを知ると,「一生離してはだめよ。世の中にあんないい人いない」なんて言いやがった。 |
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